日本では男性の20人に一人が色覚に問題があるといわれます。それほど、「色覚異常」や「色覚障がい」は身近なのに、絵本の出版界ではこのテーマを正面から取り上げることはタブー視されてきました。小学生の頃から人と違う色の見え方に悩んできた駒形さんにとって、色覚はもはや社会に隠された個性の一つであって、いつか絵本にしたいテーマでした。
こうして誕生したのが文字のないサイレントブック『MOON PHASE(ムーンフェイズ)』です。色覚に問題を抱える子どもの個性を周りの人も一緒に読み合えるように、あえて見分けにくい色を組み合わせています。
新しい色の組み合わせを見つけるために、帝京大学メディアライブラリーセンター(MELIC)の協力を得て、大学生とワークショップを通じた実験も行いました。エジソン代表の櫛田も幼少時に「色覚異常」と診断された一人として、このプロジェクトの立ち上げから色覚テストまで、企画・制作全般に関わりました。