タラブックスは、1994年の設立以来、インドに古くから伝わる土着の芸術を取り上げ、インドの民俗画家たちの作品を絵本として刊行してきたパイオニア。タラブックスは内容から印刷や製本まで、すべて自分たちで行います。今回も、再生コットンを漉き、マーブルの手法で紙を染め、シルクスクリーンで印刷し、仕上げには、糊を一切使わない手製本。本をつくるすべてのプロセスが、インドの小さな工房にいる職人たちの手しごとです。
物語の旅は、著者であるワイエダ兄弟の故郷、少数先住民族ワルリ族がくらす、ガンジャード村から出発します。高層ビルがそびえ立つムンバイを経由して、舞台は海の彼方の日本へ。最後のページでは、日本の粟島の海の生きものとともに、インドのガンジャードの川の生きものが描かれており、淡水と海水の境を超えて共存しています。本書を通じて、国や言語を超えて共鳴しあう、自然と生きる健やかな日々の豊かさを、感じていただけることでしょう。
パンデミックの最中に生まれた本書の最後には、著者であるワイエダ兄弟から読者へのメッセージがおさめられています「川のいのち 海のいのち まだ見ぬいのち みんな みなそこで つながっている」。