EDITHON | 千夜千冊の秘密

EDITHON

千夜千冊の秘密

松岡正剛のソロトーク「千夜千冊の秘密」の空間構成を担当しました。「丸善」の創業150周年の記念で企画された全11回の連続講演最終回として、代官山の樫山ギャラリーを貸し切りにした一夜限りのソロトークイベント。そんなの場のしつらえに、書棚なしで書棚を感じさせるというむずかしいお題が与えられました。松岡さんいわく「千夜千冊を書き続けて20年がたった。1夜に1冊ずつで2000冊ほどをとりあげ、関連して1万冊ほどを案内した。本はみんなつながっている」のである、と。誰かにたのまれたわけでもなく、ひとりでに始めて20年間毎日のように続けてきた「千夜千冊の秘密」を打ち明ける舞台には、華やかでもあり、密やかにも感じる本の間合いを心がけました。

イベント当日の2020年8月28日は、COVID-19が感染拡大している禍中も禍中。東京オリンピックの開催を延期せざるをえないほど、社会も文化も自粛ムードに取り巻かれていました。それでも「ただのオンライン講演なんかやるつもりはない」という松岡さんのおもいというか反骨に応えるべく、基本はオンライン配信としながら、最小人数のゲストを招き入れる会場づくりに。

編集工学研究所からドサっと運びこまれた千夜千冊の蔵書に加え、エジソンからは杉浦さんが造本した『印』(カイヨワ+森田子龍)やマルセル・デュシャンの『Museum in a Box』など、特別な造本による「千夜千冊の副読本」もいくつか持ち込み、できるだけ固めず、でもバラバラもさせず、松岡さんらしく粗密感のある本の景色を右に左に、前にうしろに、組み上げました。結果、片付いていないオタクの部屋っぽくもありますが、本の並びは「千夜千冊」の公開順ではなく、WEB上を飛び交うハイパーリンクのごとく、3冊から5冊くらいの単位で組み合わせをこしらえ、配置しました。仕上げに、急逝した藤本晴美さんをこの場で感じたくて、私物のインゴ・マウラーやヨーガンレールの照明具を照らし、本の気配をトワイライトに染めました。

[写真]後藤由加里、寺平賢司

イベント概要

講演名 千夜千冊の秘密(「丸善」創業150周年記念連続講演会)
主催 丸善雄松堂
会場 樫山代官山ギャラリー
日程 2020年8月28日

プロジェクトメンバー

講演者
松岡正剛
企画プロデュース
和泉佳奈子
進行管理
宮本ちほ(ポマト・プロ)
照明
MGS
スクリーンデザイン
町口 覚、浅田 農
空間構成+選書
櫛田 理