EDITHONの自社出版物第一号です。「生涯一編集者」を公言する松岡正剛氏が執筆した本書は、企画・編集・発行人を兼ねる櫛田理が9年間所属した編集工学研究所時代に、目の前で目撃してきた手書きの松岡正剛を、そのまま本にした一冊です。

『編集手本』は、さまざまな領域でその道を独走する諸センパイが綴る「おてほん」シリーズの第一弾です。「手書きのお手本」というスタイルで、書き直しや推敲の「痕跡」を、そのまま印刷製本する出版シリーズとして立ち上げました。
この「おてほん」シリーズは、活版印刷以前の写本やマニュスクリプトの世界に立ちかえって、「本のあり方」を見つめ直す実験でもあります。かつて、ヴォイニッチ手稿、バッハの自筆譜、レオンルド・ダ・ヴィンチの手稿ノート、光悦の嵯峨本といった、手稿本の生々しさが書き手と読み手を不思議な力で引き寄せたように、手書きの「痕跡」をそのまま出版するスタイルにしました。
製本は、EDITHONと図書印刷がこのシリーズのために共同開発した「手本折(てほんおり)」と名付けた製本様式です。1枚の大きな用紙に2本の切れ目を入れるだけで、継ぎ目なく折りたためる独特の製本は、第53回造本装幀コンクール「日本印刷産業連合会会長賞」を受賞しました。(実用新案登録「第3219399号」)
