さまざまな道をゆく先人が「手本」としてきたことを自筆でしたためる「おてほん」シリーズの第一弾。本書は、自ら「生涯一編集者」と公言している松岡正剛がこれまでけっして明かさなかった「編集の手習い」を綴った一冊です。手書きの本なので、書き直しや推敲などの生々しい「痕跡」もそのまま印刷されています。本書の佇まいは、たとえば『葉隠』や『ダ・ヴィンチの手稿本』のような中世の写本やマニュスクリプトの世界にはあって、現代の出版流通のしくみからは消えてしまった「読書の温度」をたかめる造本設計を試みています。
企画編集および発行人の櫛田理は、もともと松岡正剛のもとで働いていた編集者。師である松岡の自筆原稿やラフスケッチは、その後実際に出版されたどんな書物よりも優れているように感じられた。そんな手の痕跡がのこる現場から生まれた一冊です。
「手本折(てほんおり)」と名づけた製本は「機械でつくる中世の和本」をイメージして、この本のために数ヶ月かけて印刷会社と開発した独自の様式。大きな紙に切れ目を2本入れて折り畳むことで「継ぎ目のない蛇腹本」ができあがる設計になっています。第53回造本装幀コンクール「日本印刷産業連合会会長賞」を受賞しました。(実用新案登録「第3219399号」)
流通および販売は、EDITHONが自社運営するブックアートギャラリー「FRAGILE BOOKS」(https://www.fragile-books.com/)で取り扱っています。