EDITHON | 角川武蔵野ミュージアム EDIT TOWN

EDITHON

角川武蔵野ミュージアム EDIT TOWN

新しい本と出会い、新しい連想が生まれる「エディットタウン」は本の息づかいや賑わいが感じられる「本の街」。松岡正剛の監修のもと、世界を読み解く9つの文脈によって25,000冊が50メートルつづくストリートに配架されました。これまで松岡さんと数々のブックプロジェクトを立ち上げてきたエジソンの櫛田理も参加。ET7「イメージがいっぱい」、ET8「仕事も暮しも」、ET9「個性で勝負する」のブックディレクターとして専門分野ごとのスペシャリストを交えて選書全体をねじり上げ、みずからも選書に腕をふるいました。

9つの書域(ゾーン)に分けられたエディットタウンの本棚に、ET7「イメージがいっぱい」、ET8「仕事も暮しも」、ET9「個性で勝負する」の3つのゾーンがあります。全貌の解説はここでは省きますが、たとえばET7「イメージがいっぱい」の組み立てのさわりは、こんなふうでした。

ET7「イメージがいっぱい」は、詩歌・音楽・絵画・建築・舞台・ファッション・写真・映画・舞台・デザイン・SF・ホラー・魔法など、15の書区(テーマ)で「さまざまなイメージ」を浮上させる方針。冊数にするとおよそ4000冊ほどの本が新旧や和洋を超えて踵を接します。

はじまりの書区は「歌」で、ポエトリーとソングとリリックが同居します。つまり漢詩も俳句もマザーグースも中島みゆきも日本語ラップもまぜまぜにする狙いです。

およそ中腹に位置するのは「写真は語る」です。この書区には、ポートレートの傑作写真集やアマチュア写真家の作品集、のれんを掛けたくなるような淫靡な官能写真集などが並びます。左隣は、洞窟画からはじまる「絵画」の棚。右隣は「映画」「舞台」「モード/ファッション」へと分岐。その狭間で、イメージの文化史上、重要な結節点として「写真」がひとりでに語りだす仕立てです。ラテン語で「板」を意味する「タブラ(tabula)」に語源をもつ「タブロー」が定着していた西洋美術にとっては、19世紀の「写真術」の登場をはさんで、20世紀に入ると、タブロー主義から飛び出した新たな視覚装置によってイメージを起爆させるさまざまな一派が登場するからです。

ET7「イメージがいっぱい」のさいごの書区は「神秘主義と魔法」です。シャーマンやアニミズムを母体に、不老不死の煉丹術や見えない秘密結社など、たいそうあやしい本たちが勢揃いします。発刊当時に物議を醸した本も、ふつうの図書館では出入り禁止の本も、ここにはあります。

こうして、ET7「イメージがいっぱい」は歌にはじまり、魔法で終わります。なぜかというと、古代にイメージを司っていたシャーマンたちは、呪文を唱えるときも、祝詞をあげるときも「歌」を介在させていたからです。イメージというのは音にのせてやってくるものだったのです。エディットタウンは、新しい連想が生まれるための画期的で類例のない有料ライブラリーです。ぜひ足をお運びください。


ET7 イメージがいっぱい

ブックディレクター 櫛田 理
選書メンバー 太田香保、大和田悠樹、小川玲子、乙部恵磨、清塚なずな、 古賀弘幸、小島伸吾、中澤健矢、野田努、宮坂千穂、森岡督行 (五十音順)

ET8 仕事も暮しも

ブックディレクター 櫛田 理
選書メンバー 大野哲子、清塚なずな、高野和哉、高野真俊、寺平賢司、西村俊克 (五十音順)

ET9 個性で勝負する

ブックディレクター 櫛田 理
選書メンバー 小川景一、門倉正美、 光澤大志、清塚なずな、寺平賢司、 飛永卓哉、中野由紀昌、新部健太郎、 西村俊克、西藤太郎、三苫麻里 (五十音順)

プロジェクトメンバー

監修構成
松岡正剛
企画統括
和泉佳奈子
書棚設計
隈研吾
進行統括
中村碧
選書総括
太田香保
ブックディレクター
櫛田理、他